非居住者のオーナー1人が所有する米国LLCをお持ちなら、年に1回、IRSにForm 5472をForm 1120と一緒に提出する必要があります。会社がまったく稼いでいなくても、です。この記事では、誰に申告義務があるのか、期限はいつか、CIS諸国から書類をどう送るか、そして期限を過ぎてしまったらどうすればよいかを解説します。

STEP 01Form 5472の提出義務があるか確認する

よくあるケースはこうです。StripeやShopifyを使うためにデラウェア州かワイオミング州でLLCを設立し、オーナーは1人、そしてご自身は米国市民でも米国居住者でもない。税務上、このようなLLCはdisregarded entity、つまり「透過的な」事業体として扱われ、LLC自体は法人税を払いません。ところが、オーナーとの取引の報告に関しては、IRSはこのLLCを法人とみなします。そのため、Form 5472をpro forma 1120と一緒に提出する義務が生じるのです。

きっかけになるのは売上ではなく、LLCとあなたとの間の取引です。1年間に1回でもそうした取引があれば、申告は必須です。オーナーとの取引に当たるのは次のようなものです。

  • LLCに資本を拠出した(形式的な1ドルでも該当します)
  • LLCから自分にお金を引き出した(分配)
  • 会社にお金を貸した、または会社から借りた
  • 会社の設立費用、登録代理人(エージェント)の費用、ドメイン代を個人のお金で立て替えた
  • LLCがあなたから商品やサービスを購入した、またはあなたに販売した

IRSの説明書では、会社の設立費用と清算費用についても別途言及されています。そのため、12月に設立して1件も入金がないLLCでも、初年度はほぼ確実に申告が必要です。設立費用を誰かが払っているはずだからです。

重要Form 5472を出せば他の義務が免除されるわけではありません。たとえばデラウェア州LLCの州税はまったく別の話です。詳しくは記事デラウェア州LLCの税金をリモートで支払う方法をご覧ください。

STEP 02期限とForm 7004による延長を押さえる

Form 5472はpro forma 1120に添付し、この申告書の期限までに提出します。暦年を会計年度とするLLCなら、期限は翌年の4月15日です。2026年分であれば、2027年4月15日が締め切りです。

間に合わない場合は、4月15日までにForm 7004を提出してください。これで自動的に6か月延長され、期限は10月15日になります。Part Iのライン1にはForm 1120のコードを記入し、用紙の上部にForeign-owned U.S. DEと書き込みます。

多くの人がつまずくポイントがあります。このタイプのLLCの場合、Form 7004はForm 7004の説明書に載っている通常の住所ではなく、Form 5472本体と同じFAX番号または住所に送ります。これはForm 5472に関するIRSの説明書にはっきり書かれています。

2026年10月末にこの記事を読んでいる方は、2025年分の延長期限はすでに過ぎています。その場合の対処法はSTEP 05で解説します。

STEP 03pro forma 1120とForm 5472を記入する

難しそうに聞こえますが、pro forma 1120はほぼ白紙の書類です。IRSの説明書によれば、記入するのはLLCの名称と住所、そして1ページ目の項目BとEだけです。上部にはForeign-owned U.S. DEと書きます。会社のEINがないと何も進まないので、番号は事前に取得しておきましょう。

Form 5472本体は、もう少し詳しく記入します。

  1. Part I: LLCの情報。ライン3には必ずチェックを入れてください。これがforeign-owned U.S. DEであることを示す項目です。
  2. Part II: オーナーの情報。このタイプのLLCでは、25%外国株主の欄にオーナーを記入します。ライン4b(3)には、外国の納税者番号(FTIN、たとえばロシアのINNなど)があれば記入します。SSNやITINは、持っている場合にのみ記入します。
  3. Part IV: オーナーとの金銭取引。貸付、利息、購入や販売などです。
  4. Part V: disregarded entityの場合、資本の拠出や資金の引き出しなど、その他の取引があればここにチェックを入れます。あわせて、それらの取引内容を説明した書面を別途添付します。

ライン4b(2)と8b(2)では、reference ID numberが必要になることがあります。これはオーナーに対して自分で割り当てる管理番号です。使えるのは英字と数字のみで、スペースや記号は不可、50文字以内です。毎年同じ番号を使いましょう。

ヒント簡単な表を作って、個人のカードとLLCの口座の間で動いたお金を1件ずつ記録しておきましょう。そうすれば4月には金額を合計するだけで済みます。表がないと、Payoneerや銀行の明細から1年分を復元するのにひと晩、場合によっては1週間かかります。

STEP 04FAXまたは郵送で書類を送る

disregarded entityのForm 5472は電子申告ができません。TurboTaxなどのソフトも使えません。残る方法は2つで、どちらもIRSの説明書に記載されています。

方法01: FAX

番号は855-887-7737、スキャン品質は300 DPI以上が条件です。CIS諸国からなら、オンラインFAXサービスを使うのがいちばん簡単です。PDFをアップロードして番号を入力すれば、送信完了レポートが届きます。このレポートは必ず保存しておきましょう。後で問題になったときに、提出日を証明する材料になります。料金やお住まいの国での利用可否は、各サービスに直接確認してください。条件はよく変わります。

方法02: 郵送

foreign-owned LLC向けの送付先は特別で、Form 1120やForm 7004の説明書にある通常の住所は使えません。

Internal Revenue Service, 1973 Rulon White Blvd, M/S 6112 Attn: PIN Unit, Ogden, UT 84201

追跡番号付きの国際宅配便で送り、控えは保管しておきましょう。CIS諸国からの通常の国際郵便は現在、到着時期が読めません。4月15日までに発送することと、4月15日までに届くことは別物です。時間に余裕がないなら、FAXのほうが確実です。

送るのは1セットです。pro forma 1120に、Form 5472とPart Vの説明書面を添付します。関連者が複数いる場合は、1人(1社)ごとに別々のForm 5472を作成します。

STEP 05期限を過ぎた場合: 罰金とreasonable cause

ここからは、このフォームがなぜこれほど恐れられているのかという話です。期限内に提出しなかった場合の罰金は25,000ドルです。必要な記録を会社が保存していなかった場合も、同額の罰金が科されます。半分しか記入されていないフォームは、未提出とみなされます。

IRSから通知が届いてから90日以内に是正しなかった場合は、関連者ごとに、遅延30日ごとにさらに25,000ドルが加算されます。この罰金に上限はなく、提出漏れの年はそれぞれ別に計算されます。

期限をすでに過ぎてしまった場合の対処法は次のとおりです。

  1. IRSからの通知を待たないこと。税務当局から連絡が来る前に自主的に是正したほうが、評価はずっと良くなります。そのための手続きとしてDelinquent International Information Return Submission Proceduresがありますが、これを使っても罰金が科されないとは限りません。
  2. 未提出のフォームを提出する際は、reasonable cause(正当な理由)を説明する書面を添えます。何が起きたのか、いつ申告義務を知ったのか、是正のために何をしたのかを記載し、裏付け書類も添付しましょう。
  3. すでに罰金が科されている場合は、Form 843で取り消しを申請します。通知書、遅れて提出したフォーム、説明書面を添付してください。その間も、通知に記載された期限は進み続けます。

現実的に考えておきましょう。IRSは通常、法律を知らなかったことを正当な理由とは認めません。フォームについて教えてくれなかった代理人や会計士のせいにする説明は、通ることもありますが保証はありません。税務の専門家によれば、初回の罰金を簡易的に免除するFirst-Time Abatementは、Form 5472には原則として適用されません。

重要LLCが複数年分の提出を漏らしている場合や、すでにIRSから通知が届いている場合は、自分で対処しようとしないでください。説明書面の言い回しひとつのミスが、税理士に払う1年分の費用より高くつくこともあります。

STEP 06自分で提出するか、税理士に頼むかを決める

取引が少なければ、自分で十分対応できます。資本を拠出し、設立費用を払い、何回かお金を引き出した程度なら、説明書を読んで記入するのに1-2晩、それにFAXの送信だけです。

税理士に頼む価値があるのは、次のような場合です。

  • LLCが複数ある、またはオーナーや関連会社が複数ある
  • 貸付や金銭以外の取引があった、または個人の資産を事業に使った
  • 期限を過ぎてしまった、またはすでにIRSから通知が届いている
  • そもそもLLCがdisregarded entityなのか、たとえば法人課税を選択しているのか確信がない

執筆時点では、料金に大きな幅があります。オンラインサービスでは、オーナー1人の標準的なLLCについて、Form 5472とpro forma 1120のセットで198-300ドルからが相場です。Fiverrでは、フォーム1件で750ドルから、reasonable causeの説明書面付きで5件分2,250ドルまでのパッケージが見られます。ディレクトリサイトで米国のCPAが回答している金額は、年間500-1,500ドルの範囲です。支払う前に、FAX送信、Part Vの説明書面、Form 7004の提出が含まれているかを確認しましょう。

50ドル程度の極端に安い依頼先は、特に慎重にチェックしてください。フォームにミスがあったとき、罰金を科されるのは依頼先ではなくあなたの会社です。

まとめForm 5472のチェックリスト

  • 非居住者オーナー1人のLLCで、1年間にあなたとの取引が1回でもあれば申告が必要です。売上ゼロでも同じです。
  • 期限は4月15日。間に合わなければ4月15日までにForm 7004を出し、10月15日まで延長します。
  • pro forma 1120: 名称、住所、項目BとE、そしてForeign-owned U.S. DEの記載。
  • Form 5472: Part Iのライン3にチェック、Part IIにオーナー、Part IVとVに取引、Part Vの説明書面。
  • 送付は855-887-7737へのFAXか、Ogden, UTへの郵送のみ。送付の証明は保存しておきましょう。
  • 期限を過ぎたら、IRSから通知が来る前に自分で提出し、reasonable causeの説明書面を添付します。
  • 複雑なケースや複数年分の未提出がある場合は、専門の税理士に相談しましょう。

Form 5472は税金ではなく報告書です。期限内に出せばほとんどコストはかかりませんが、出し忘れると25,000ドルです。これから米国LLCでビジネスを立ち上げて決済の受け付けを始めるなら、2026年に選ぶべき決済サービスもあわせてご覧ください。

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