カザフスタンでもPayPalは使えますが、登録してから最初の出金にたどり着くまでには落とし穴がいくつもあります。ネットショップに必要なアカウントの種類、本人確認の通し方、Shopifyとの連携、そして手数料でどれだけ目減りするのかを、ステップごとに解説します。ウズベキスタン国籍の方がどうすればよいかも別途まとめました。

ステップ 01個人アカウントかビジネスアカウントか: ショップに必要なのはどちら

PayPalのアカウントには2種類あります。個人アカウントは買い物や知人への送金、たまの販売を想定したものです。一方、販売者として代金を受け取るならビジネスアカウントが必要です。会社や個人事業主の名義で運用でき、PayPal Checkoutが使えるほか、スタッフに権限を絞ったアクセスを付与することもできます。PayPalのヘルプによると、その上限は200人です。

Shopifyでショップを運営するなら、選ぶべきはもちろんビジネスアカウントです。Shopifyのヘルプにも、ショップのメールアドレスに紐づいたPayPalビジネスアカウントがなければ、返金や支払いの手動キャプチャができないと明記されています。そしてECでは、返金は毎週のように発生します。

あらかじめ知っておきたいポイントは次のとおりです。

  • 1人が持てるのは個人アカウント1つとビジネスアカウント1つまでで、それぞれ別のメールアドレスが必要です。
  • 個人アカウントはSettings - Account Optionsからビジネスアカウントにアップグレードできますが、ほとんどのビジネスアカウントは個人アカウントに戻せません。
  • カザフスタンのビジネスアカウントは個人事業主(IP)や法人向けなので、登録前にIPまたはTOO(有限責任パートナーシップ)を設立しておきましょう。

ステップ 02登録: 用意しておく情報

登録はpaypal.comのSign Upボタンから行います。この段階ではロシア語表示がないことも多いので、パスポートの記載どおりにローマ字表記の情報をあらかじめ書き出しておくとスムーズです。

必要なものは次のとおりです。

  • ビジネス専用のメールアドレス(ログインIDになるので、Shopifyにも同じものを登録するのがおすすめです)
  • SMSコードを受け取るためのカザフスタンの電話番号
  • IIN(個人識別番号): National IDの欄に入力します
  • ローマ字表記の住所: 通り、番地、部屋番号、市、州、郵便番号
  • IPまたはTOOの情報: 名称、業種、ショップのURL
  • 身分証明書またはパスポートと住所を証明する書類(審査の際に提出を求められることがあります)

国はKazakhstanを選び、生年月日はDD/MM/YYYY形式で入力します。パスワードは8文字以上で、英字・数字・記号を組み合わせてください。入力自体は10分ほどで終わります。書類審査を求められた場合は、数分から数日かかります。

よくあるトラブルが、SMSが届かない、または電話番号が受け付けられないというものです。確実な解決策はなく、別の通信キャリアの番号を試したり、PayPalのサポートに問い合わせたりしているユーザーが多いようです。

ステップ 03カードの登録と認証

カードはWalletセクションの「Link a debit or credit card」から登録します。カード番号、有効期限、CVV、名義人の名前が必要です。

登録後、PayPalが少額を引き落とし、あとで返金します。銀行の明細に表示されるこの取引の説明欄に4桁のコードが記載されているので、それをアカウントに入力すればカードの認証は完了です。カードに少し残高を入れておかないと、引き落としが通らないので注意してください。

銀行ごとの対応はまちまちです。カザフスタンのサイトのまとめ記事ではKaspi、Halyk、Jusan、Freedom、Bank CenterCredit、ForteBank、Bank RBKなどが挙げられています。ただ口コミを見ると、KaspiやHalykのカードを問題なく登録できた人がいる一方で、同じ銀行でも拒否された人もいます。通りやすいのはマルチカレンシーカードやドル建てカードで、テンゲ建てのカードは国際決済に使えないことも少なくありません。

ヒントカードを登録する前に銀行へ電話して、今PayPalとの取引が通るかどうか、ドル建て口座とそれに紐づくカードを作れるかどうかの2点を確認しておきましょう。何日も試行錯誤せずに済みます。

ステップ 04PayPalをShopifyに連携する方法

ショップを作成すると、Shopifyはあなたのメールアドレスで自動的にPayPal Express Checkoutを用意します。ただし設定を最後まで完了させないと、一部の機能が使えません。Shopifyのヘルプに沿った手順は次のとおりです。

  1. 管理画面でSettings - Paymentsを開きます。
  2. Additional payment methodsのブロックで、PayPalの横にあるSetup incompleteをクリックし、続けてComplete setupをクリックします。
  3. PayPalのビジネスアカウントにログインします: メールアドレス、Next、パスワード、Nextの順です。
  4. ビジネス情報を入力し、Agree and Create Accountで規約に同意したら、事業形態と個人情報を入力してSubmitをクリックします。
  5. Go back to ShopifyでShopifyに戻り、テスト注文を行います。

無料体験プランではテスト決済ができないため、先に有料プランを選択する必要があります。まだShopifyを始めていない方は、Shopifyで稼ぐためのガイドからどうぞ。PayPalと並べてカード決済を導入したい場合はStripeが使えます。詳しくはカザフスタン向けの別記事で解説しています。

ステップ 05手数料と為替: 実際の手取りはいくらか

以下の数字は、2026年10月28日に更新されたPayPalのカザフスタン向け料金ページに基づいています。

  • カザフスタン国内の購入者からの支払い: 3.4% + 固定手数料(通貨に応じて0.30 USD、0.35 EUR、0.20 GBP)
  • 海外の購入者からの支払い: 4.4% + 同じ固定手数料
  • 受け取った資金や残高の通貨換算: 基準レートに3%上乗せ
  • チャージバック(異議申し立てされた支払い): 10 USD

これにShopifyの手数料が加わります。Shopify Payments以外で決済を受け付ける場合、外部決済サービスの利用手数料として、Basicプランで2%、Growで1%、Advancedで0.6%がかかります。私たちの把握している限り、カザフスタンの販売者はShopify Paymentsを利用できないので、この手数料は織り込んでおくべきです。

例を挙げましょう。アメリカの購入者が100 USDを支払うと、PayPalが4.4 + 0.30 = 4.70 USDを差し引き、BasicプランならさらにShopifyが2 USDを取ります。残高に残るのは約93.30 USDです。これをすぐにPayPal内でテンゲに換えると、為替でさらに約3%を失います。

そのため、残高はドルのまま持っておき、ドル建て口座に出金するほうが得です。換算は自分の銀行で行えば、たいていレートも有利になります。

ステップ 06カザフスタンの銀行への出金

出金はWalletセクションの「Withdraw money」から行います。口座またはカードと金額を選んで確定するだけです。口コミによると、着金までは1-3営業日です。

執筆時点のPayPalの料金表による手数料は次のとおりです。

  • 銀行口座への出金: 通貨換算がなければ無料
  • カードへの出金: テンゲでの出金は1回につき1,887 KZT、ドルでの出金は5 USDの定額

定額制ということは、出金は回数を減らしてまとめて行うほうがよいということです。100 USDずつ5回カードに出金すると25 USDかかりますが、500 USDを1回で出金すれば5 USDで済みます。銀行側も着金手数料を取ることがあるので、事前に料金を確認しておきましょう。

PayPalから「Right now, we're not able to transfer the funds to your bank」と表示され、銀行とPayPalが互いに責任を押し付け合うケースもあります。こうした場合は、別の銀行やドル建て口座を使うと解決することが多いです。

ステップ 07PayPalがアカウントを制限する理由と回避策

制限(limitation)とは、審査を通過するまでPayPalが出金や送金を一時的に停止する措置です。新規の販売者にはおなじみで、新しいアカウントでは支払いが最大21日間保留されることがあります。

よくある原因は次のとおりです。

  • 登録情報が書類やカードの情報と一致しない
  • 住所を証明できない(口コミによると、eGovの証明書をPayPalが受け付けないこともあります)
  • 新しいアカウントで売上が急増した
  • 返金やチャージバックが多い、商品が期限内に届かない
  • 複数の国やVPN経由でログインしている、1台の端末で複数のアカウントを使っている

リスクを下げるには、正確な情報だけを登録し、売上は少しずつ伸ばし、注文には追跡番号を登録し、紛争には数日以内に対応しましょう。制限の通知メールが届いたら、そこで求められていること(たいていは書類の提出)に従ってください。Stripeでも同様のルールがあります。詳しくはアカウント凍結を防ぐ方法の記事をご覧ください。

注意アカウントが審査対象にならないという保証は誰にもできません。他人の情報で登録したり、実際に住んでいない住所を記入したりするのはやめましょう。そうしたアカウントは最初の書類提出の段階で閉鎖され、残高も長期間保留される可能性があります。

ステップ 08ウズベキスタンの方の場合

ウズベキスタンではPayPalを本格的に利用することはできません。現地のカードはシステム上で一部しか機能せず、販売者として支払いを受け取ることもできません。2026年2月には上院が個人データ法の改正を承認し、Kun.uzの報道によると、これでPayPal、Apple Pay、Google Payへの道が開かれる見込みです。ただし執筆時点では、決済受け取りの正式なサービス開始は発表されていません。中央銀行のニュースをチェックしておきましょう。

今すぐ合法的にできることは次のとおりです。

  • 他国で設立した会社名義でStripeを使い、カード決済を受け付ける(詳しくはウズベキスタン向けStripeの記事で解説しています)
  • マーケットプレイスやクライアントからの支払いをPayoneerで受け取る
  • 実際にカザフスタンに住んでいて、居住許可、現地の住所、IPを持っているなら、カザフスタンの居住者としてPayPalを開設する

実際には住んでいないのに「カザフスタンの住所で」登録するのはやめましょう。規約違反であり、そうしたアカウントは長く持ちません。

初回の決済前チェックリスト

  • IPまたはTOOを設立し、ショップのメールアドレスでPayPalビジネスアカウントを開設した。
  • ローマ字表記の情報がパスポートと一致し、National IDにIINを入力した。
  • ドル建てまたはマルチカレンシーのカードを登録・認証済みで、ドル建て口座がある。
  • ShopifyにPayPalを連携し、テスト注文が通った。
  • PayPalの約4.7%とShopifyの0.6-2%を価格に織り込んだ。
  • 出金は換算なしで口座へ、まとまった金額で行う。
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